<監督:黒沢清 出演: 香川照之 小泉今日子 小柳友 井之脇海 井川遥 津田寛治 役所広司 2008年 日本 119分 配給:ピックス>
■10月4日(土)〜 梅田ガーデンシネマ シネマート心斎橋 京都シネマ 10月11日(土)〜 三宮シネフェニックスにてロードショー

<取材が始まるまで>
お盆の慌ただしさも過ぎ去り、残暑がまだまだ残る8月某日
私は映画「トウキョウソナタ」の取材に、中之島のリーガロイヤルホテルまで行きました。
普段、リーガロイヤルホテルに行くこともあまりない私はロビーに到着すると、緊張でうろうろしてしまい、取材現場に到着すると、テレビ局の方など、たくさん待機されていて、静かなんだけど、独特な緊張感の中にドキドキ。ほっとしたのもつかのま、写真撮影が始まります。
「トウキョウソナタ」の黒沢監督、香川照之、小泉今日子さんが登場。
私の撮影位置のもうすぐ隣を通られたので、(うわぁ〜!ちかい!近い!)と心臓のドキドキが倍増!もう写真撮影は必死でしたね〜。
そして、写真撮影もおわり、本題の取材へ。
<作品の簡単な説明>
「トウキョウソナタ」のチラシには、なんだか灰色がかった東京の空の真ん中に「ボクんち、不協和音」という、独り言のようなセリフが書かれてあります。
この言葉がこの映画の第一歩を示す、象徴的な大切な言葉のような気がします。
家族の話であって、子供が自分の家の中の今の状況を思うこの一言。長々とあらすじを書かなくても、この言葉から映画に入り込むことができる。シンプルなんだけど、わかりやすく、インパクトのある大切なメッセージ。皆さんはどのようにして受け止めますか?
<取材記録・取材語録>
「ある種の希望にたどり着きたかった」という黒沢監督は、取材でこうおっしゃっていました。
「トウキョウ」という土地にこだわりをもったという訳ではないが、一番「今」を感じられる場所が東京だったということを。やはり、監督にとっては近い存在でもある「東京」。
単なる家族の話だけではなく、個人個人の外で起こる問題が激突、あらわになっていくのが家の中になるんではないだろうか・・・と。
そこからいろいろあるんだけれど、前向きに生きていきたいという思いからこの作品を製作されたそうです。
そして、今回は、おそらくここでしか聞けなかっただろう撮影秘話を。
小泉今日子さんは、母親役を演じるということを大変楽しまれていたそうです。「でも、女の子の母親役と男の子の母親役とはやっぱり気持が違うね〜」と、お話しされました。
映画の撮影時は、楽屋が撮影所に近く(大体離れている現場が多いらしいんですって)、それが役者同士のコミュニケーションを沢山とれてよかったことだと、香川さん。撮影以外でも、共演者の方や特に家族役のみんなで、楽しい時間を作ることが出来た作品だった、素晴らしい作品だったといいます。
「撮影以外ではどうしてもなかなかコミュニケーションがとれない作品もあるんだよ〜」と香川さんがぼそっと言われて、一瞬(えっ!!どんな状況やったんやろ〜)と詮索してしまった私をお許しください、香川さん。<m(__)m>
でも、製作するということは人間同士のぶつかり合いのなか生まれてくるものでもあるから、全員が同じ気持ちで作っていくのは大変なことだと思うし、本心なんだろうな〜と、この場のこの取材でしか聞けなかった役者さんの一面を見れた気がして、嬉しかったです。
<カンヌ国際映画祭でのエピソード>
皆さんの記憶にまだ新しい2008年、5月24日カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門の準グランブリでもある「審査員賞」受賞は日本初ということもあり、喜びのニュースになりました。
そこでのエピソードを。
受賞会場の雰囲気が非常によかったと黒沢監督がおっしゃいました。手ごたえを100%感じたようで、外国の方々にもこの映画を理解してもらえ、世界に共通できたことは、映画の力はやはりすごいんだと改めて感じたそうです。
私と同じく取材に来ていたある記者の方の「この家族の幸せはどこにあると思いますか?」という質問に、小泉今日子さんと香川照之さんのお二人が「・・・きっとカンヌの授賞式のような感じかもしれないな〜」とおっしゃていたのが印象的でした。
みんなが晴れ舞台で、みんなで喜び合って、みんなが笑顔で・・・・・当り前のことなんですが、本当にカンヌ映画祭での受賞は全員で喜び合ったのだろうな〜と、さらに素敵な作品だな〜と思えました。
<最後に・・・>
私は、この映画を見たときに、(あぁ〜日本映画だぁ)と始まって、すぐ感じました。
時代劇でもないし歴史の話でもない、ほんとに日常を描いた作品なんだけど、なんとも言えない心に染み込むような安堵感というか、懐かしさというか・・・。
それはきっと、この映画には日本の今を率直に、飾ることなく付け足すことなくありのままを描いているからなんだと思いました。だからありのままを、家族というものを映し出すことができた映画「トウキョウソナタ」は、日本を超えて、たくさんの人に共感することができたのだとおもいます。
家族の話なんだけど、家族の中の個人の話でもあるような気もします。
人は一人では生きていけないから、家族や愛する人、自分の「居場所」が必要なんだな〜と思えた作品でした。
皆様にとって、「 居場所は 」どこになるんでしょうね。
ありきたりだけど「日常」なんだろうな〜。
(欠陥ロケット 渡辺展子)