奥田瑛二監督作品 「風の外側」 舞台挨拶

★十三の第七藝術劇場に到着

 

場所は、大阪十三にある第七藝術劇場。
私は大阪生まれの大阪育ちなのですが、恥ずかしい事にこの映画館へ行ったことが今までになく、内心ドキドキしながら劇場に行きました。中へ、入ってみると、まずは木製で作られたロビーやフロント、そして廊下に昭和の匂いを感じずにはいられないような、焦らない時間を感じさせてくれるそんな空間を感じました。

映画の舞台挨拶までには、少し時間があったのでロビーに並べられた映画のチラシを観てみると、大きな映画館で決して置かれていないような、観る事はできないような外国の映画のチラシや、日本のインディーズ映画のチラシが沢山あって、見入ってしまいました。

★奥田瑛二監督いよいよ登場

奥田瑛二監督の舞台挨拶がいよいよ始まります。
最初の登場では、劇場の司会の方が上手(右側)からご紹介をして、袖から出てくるという段取りだったようなのですが、反対の下手(左側)から奥田監督が出てこられて、舞台の上でお二人で「あれ?あれ?」とキョロキョロするシーンがあり、会場を一気に和ませていただきました。(笑)
そして、奥田監督が登場して、新聞記者の方や私達のような0L体験ルポの取材で来た人以外の一般の皆さんが、携帯で写真を撮り始めてしまったんですね。そりゃ、やっぱり目の前に奥田瑛二さんがいらっしゃれば、撮っちゃダメだとわかっているけど思わず写真を撮りたくなりますよね。分かります、その気持ち。
もちろん司会の方は慌てて、注意をされたんですね。
そしたら、奥田監督が「いいよ、いいよ。今日は特別にってことで」 と、一言。

(おぉぉぉぉ〜!!なんと心が広い方なんだぁ〜!)
その一言で、また会場の空気が和み、司会の方も納得されたのか、話を切り出し始めました。
<注> 通常は、映画や演劇などの記者会見・舞台挨拶などでは、決められた関係者の方・指定された時間以外は無断で写真撮影・録画などは禁止されています。

★ フィルムの映像美にこだわった「風の外側」

ここで奥田瑛二監督のお話の前に、映画・「風の外側」についての簡単な説明と私なりの感想を少々させていただきます。
「舞台は、美しい海峡の町、山口県下関。本州の西南端に位置し、古くから九州、朝鮮半島との交流窓口として栄えてきた町でもあります。オペラ歌手を夢見、名門女子高の合唱部でソロを歌う岩田真理子(安藤サクラ)は、ふとしたきっかけで一人の青年(佐々木崇雄)に出会います。お互いに惹かれながらも溝が深くなっていく二人の結末は・・・・・・??? 」
・・・と、簡単にストーリーを説明しましたが、私はこの映画を拝見した時に、いろんな感想を持ちました。

まず、「フィルム」を通して奥田監督は伝えたいのだと言う事を感じました。映像=「フィルム」に対してのこだわりがあって、例えば「フィルム」撮影だからこその役者さん同士の距離間だったり、背景だったり、景色の色だったりをシンプルに無駄なく表現したいのだろうな・・・と思いました。現在では、映像技術も発展していて、特殊加工をしてこそ素晴らしい作品だとか、大画面で見れるから面白いという評価が多いのかもしれないけれど、ちゃんと昔からの映像美を受け継ぎ、そして、私達の世代にも伝えていこうとしている熱い想いを感じました。
何より一番は「フィルム」が大好きな監督なんだと思います。

そして、キャストの方も、本当に異色な方々が出演されていて驚きました。でも、そこも奥田監督の遊び心的な所が伺えます。どんなキャストの方が出演されているのかは観てのお楽しみですよ!(笑)
私の中での一押しの方は主役の佐々木崇雄さん。すごい素直な表現をされていて、かっこいいのに無邪気で見入ってしまいました。一押しです!!
この映画は、男女愛の話では片付けることが出来ない作品です。朝鮮半島との歴史や文化交流も含まれていて、奥深い作品だと思いました。

★ 奥田瑛二監督が伝えたかった事

さて、私の感想トークはこのあたりにして・・・・、奥田瑛二監督がこの映画を通じて伝えたかった事を話してくださったことをお話したいと思います。

<人間の「愛」と「夢」を見つめた珠玉の恋の物語>
パンフレットにはこう説明していました。そのまんま受け止めても全然構わないと思いますが、奥田監督はこのようにお話してくれました。
まずは、「夢を持つ」ということ。
奥田監督が小中高生合わせて50人の前でワークショップを開いた時、8人のお子さんが「夢はない」と言ったそうです。その結果に監督は非常にショックを受けました。(昔は一人一人が必ず夢は言えたのに・・・・・。ということは、きっと家族間でも夢の話をする時間が無くなっているのかもしれない・・・。)
この映画を見て、自分の夢に対して振り返ってみて欲しい。こんなはずじゃなかったな〜。でも、思い出せてよかったな〜。とか。女房の夢ってなんだっけな〜。聞いてみようか〜。と、そういうところから夢について会話を増やして欲しいとおっしゃっていました。
あと、「アイデンティティーを持つ」ということ。
これは誰でも持たなきゃいけないことなのに、今は薄れてきている。ストーリーの中に出てくる日本と朝鮮半島との歴史の話のなかで伝えていけたらと考えていたそうです。

★ 振り返ることの大切さ

「奥田瑛二監督作品「 風の外側 」のパンフレットには写真と左側には、
「風を感じて歩いていますか  夢を持って生きていますか 」
という文章があります。
この映画を見て、何か感じてもらえたら嬉しいです。
良き映画とは・・・・。自分のアイデンティティとは何か・・・。夢はなんだっけ??
あの人の夢ってなんだっけ??とか。
私は自分の夢を振り返りました。
振り返る事は、なかなか難しいんです。怖かったりさえします。だけど、自分の夢を振り返った時、生きてきた自分の道に拍手してあげたくなりました。生き急ぐ事は大事な時もあるけど、見なきゃいけないことを見過してしまいがちです。この映画は決して急ぐことなく、ただ静かに、でも伝えたい事をちゃんと見せていきながらストーリーが展開していきます。そして「懐かしさ」すら感じる作品なので、ふっと一息足を止めても大丈夫だと思わせてくれる映画だと思います。皆様、是非映画館へ。

(欠陥ロケット  渡辺展子)

■風の外側
原作・脚本・監督:奥田瑛二
出演:佐々木崇雄、安藤サクラ、石田卓也
配給:ゼアリズエンタープライズ 2007年 日本 123分
2007年12月22日より〜第七藝術劇場ほか全国ロードショー
http://www.eijidokudan.jp/