映画「歩いても歩いても」記者会見

「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」をテーマに映画作り

映画「歩いても 歩いても」の記者会見(5/15)に是枝裕和監督、主演の阿部寛さん、息子あつし役の田中平君が来阪され、記者会見会場に登場。
この映画は 普通の家族の日常会話が軸になった作品です。
不思議な(?!)役柄が多かった阿部寛さんもこの作品では普通の人を演じています。(^^ゞ
司会進行は、お馴染みのシネマコミュニケーターの森川みどりさん。
会見の模様は下記のとおりです。あっという間の40分でした。

Q. 今回はホームドラマということですが、ごくありふれた日常会話の中に寂しげな印象の一面もありましたが、監督自身はそういう意図的なことはあったんですか?
監督:寂しげに描こうとは思ってなかったですが、自分のだめな部分、小さいところ、母親の残酷な部分や、仕事を辞めたあとの父親の家での存在意識を描いています。寂しげ、というのはきっと私自身最近両親を亡くしたので映画のなかにその感情が入っていたのかもしれません。

Q. この作品の撮影にむけて何か自分自身で挑まれたことはありますか?
阿部寛さん:普通の人・・ていうんですか?今まで変わった人の役が多かったので・・・(笑)
良多という人物は普通の小さい男です。このオファーを頂けて、一つの家族を作れたことは、
私にとって宝になりました。撮影の前に2回ほど本読みをしたのですが、全キャストのイメージを確認して撮影に挑みました。

Q. 阿部さんが演じられて感情移入したり、ご自分と重ねたりした部分はありますか?
阿部寛さん:セリフが本当に自然で、こういうの分かる分かる、という部分がたくさんありました。自分も小さい人間なんですよ(笑)。
役柄についてどの辺を突っ込んでいけばいいかとか、自分にとってのイメージしているちっちゃな男を監督と話し合いました。途中からどんどん話が盛り上がって何時間も話しあったりしたこともありました。

Q. 映画の中で、たくさんの家庭料理が登場していますが、美味しかったお料理はなんですか? 撮影では全部食べることが出来たんですか?
田中平君:好きな料理だけを食べていました。お寿司とか・・・(笑) あっ、豚の角煮もおいしかったです。
阿部寛さん:トウモロコシの天ぷらです。初めて食べたんですがすごく美味しかったです。
それぞれの家庭の考えた料理があって、すべて美味しかったですね。
監督:あのトウモロコシの天ぷらは、うちの母親が作っていたんです。映画の中で出てくるシーンと同じで、隣の家がトウモロコシ畑でした。

Q. この作品を撮ろうと思われたのはいつ頃ですか?
監督:おとといの秋に母が亡くなって、入院の時間が長かったので、最後に過ごした間のことをまとめないと先には進めないな・・と思いました。2ケ月後には脚本を書いてました。

Q. セリフは監督ご自身の実体験ですか?
監督:自分の中にある記憶が強くあってその記憶をたよりに描いたりもしました。

Q. お母様との別れの予感は感じ取っていたのでしょうか?どういう風に考えて描かれたんでしょうか?
監督:だんだん弱っていくプロセスを追いかけるとじめっとするので、映画の中のシーンでお風呂のタイルが割れていて、安全の為の手すりが付いていて・・・(これは実体験です)
今までほったらかしにしていた事にはじめて気づき、いつまでも元気ではない、お爺さんとお婆さんなんだと、その時にふと感じました。直接老いるプロセスではなく、映画のサブタイトルにあるように「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」・・・ 間に合わない映画として作りました。阿部さんはこういう映画も出来るな、と思いました。キャストに選んだことは大正解だと思っています。

Q. 完成した作品で好きなシーンはありますか?
阿部寛さん:家族と何気ない会話しているシーンや樹木希林さんと平とお墓参りのシーンです。お墓参りに行ったシーンでは母親役の樹木希林さんが息子のベルトに手をかけて坂道を上っていくんです。そのシーンがすごく好きですね。
田中平君:ファミレスに家族と一緒に行ったときに、ジンジャーエールとコーラを混ぜて飲むシーンが、自分と一緒だなあ、て思って嬉しかった。
監督:「飲み放題なのにぃ・・・」と母親が言うセリフがあるんですが、実際に平が同じジンジャーエールとコーラのミックスをしてお母さんに「飲み放題なのにぃ・・・」と言って叱られていていたんです。これはおもしろいな・・と映画の中で使わせてもらいました。

Q. 「歩いても 歩いても」のタイトルの意味は?
監督:子供時代から好きな曲で、歌謡曲といえば「ブルーライト・ヨコハマ」だったんです。いつかこのタイトルの映画を作ろうと考えていました。タイトルから映画を作ったようなものですね。
※ 歌のフレーズで歩いても〜♪歩いても〜♪てあるんですがかなり昔の曲だから知らない人も多いかも。1969年に大ヒットした曲で女優の「いしだあゆみ」さんが歌っていました。

Q. 撮影時の何かエピソードはありますか?
阿部寛さん:撮影時は蝉が異常発生してたみたいで20匹くらい捕まえました。
平を夏川さんと取り合っていましたね(笑)。いい親子関係が出来たなあと思ってます。

 

出演者の皆様との会見もあっというまに時間が過ぎて 最後に出演者の写真撮影。
監督さんもすごく気さくな方で、平君も可愛かったです。阿部寛さんはやっぱり身長が高いなあ・・が第一印象でした。かっこよかったです。目の前で拝見できて感動でした。

この映画はおだやかなホームドラマですが、見終わった後には必ず家族の事を思い出します。きっと何か感じるはずです。離れて暮らしていたらよけいに、いっぱい親孝行何かしなきゃな、と思うはずです。

(IT関連 平岡めぐみ)