20代後半の派遣OL。好きなイラスト集をかねたパーソナルカラーファッションブックの出版を夢見て、実話を基にしたフィクションをイラスト小説で連載。
私の肩にいきなりオレンジジュースが降ってきたのは月曜の朝だった。隣の席に座る朝本課長が椅子から立ち上がろうとし、つまずき、手に持っていたジュースの缶をこぼしたのだ。
朝一から勘弁してくださいよ、というふうに服に付いたジュースを拭きとりながら、ちらっと横をみると「ごめんな」の一言もなく課長はそそくさとどこかへ消えていった。「なにそれ。逃避? いや違う。きっとふきんを取りに行ってくれたんや」。私は自分に言い聞かせ机に飛んだオレンジの液体をティッシュに吸わせていく。
しばらくして課長が席に戻ってきた。まるで何もなかったように。「おはよう。君たち元気かね」。そんな雰囲気を引き下げて。私は怒るどころか、その開き直りっぷりに唖然としてしまい言葉を失った。私の服はオレンジのフルーティーな香りが一日染み付くってのに……。「この親父めー!ちょっと役職だからってありえへん! ああ。今日はいいことないな」。そう思った。
こんな時に限って予感は的中するものだ。正午前、私は急激な腹痛に襲われた。「なんでこんなに痛いねん」。眉間にしわを入れ、痛みを堪えて仕事を続けるが鈍痛は治まらない。昨日食べたヨーグルトが憎い。そして、こんなに痛そうにしても「大丈夫」の一言もかけてもらえない自分が惨めで泣きたくなる。唯一の楽しみである昼食をパスして腹痛に耐え、やっとの思いで定時のチャイムを聞き、会社を出て家路に着いた。
「ほんまに散々な日やったな。課長も最悪やわ」。ビールを喉に通したいがお腹の調子を考えお茶にする。豆腐に禅味噌をつけて食べる。いつもの美味しさが口の中にぱあぁと広がる。平凡で地味な幸せをほんのり感じて一日が終わる。「今日のさえない自分にはもうバイバイや」と眠りについた。
私の退社後、課長がミスをかばってくれて上司を説得していたと知り「課長、ほんまいい人! 」と感謝するのは明日の話。

名前:TAMAKI
年齢:20歳後半
職業:派遣OL
HP:派遣OL&イラストレーターTAMAKIの【怠け者OLの節約美人化計画!】